まち
「今日こそ捕まえてやる!覚悟しろ!」
船首に立ち、大声で怒鳴る人。
「どうぞどうぞ♪出来るものならね・・・(笑)」
船尾に立ち、微笑む俺。
「こんにゃろう〜〜〜(怒)」
俺の名前はキャプテン・エンゼル。
この豪華海賊船『エンゼルスマイル号』に乗り、辺り一帯を仕切っている。
そしてあの怒れる麗しの人は巽宗一さん。
海軍大将で『護衛艦★暴君』の船長を務め、海賊撲滅に励んでいる。
俺と宗一さんの出会いはかれこれ数年前。
まだ少将だった宗一さんが軍のイベントで街をパレードしてるときだった。
その姿に一目惚れした俺は彼が海賊の捕獲を担当していると知り、海賊になることを決意した。
親には泣かれたけど、兄からは「お前の信じる道を行け」と『海賊読本』を渡され必死に勉強し、晴れて海賊になれた俺は宗一さんと『愛の鬼ごっこv』を楽しんでいる。
「黒川!もっとスピード上げろよ!」
「そんな無茶な・・・」
「ふふっ、もうおしまいですか?」
「まだだ!」
この海賊船はかなりハイスペックで造られていて、実はもっとスピードが出せる。だけど捕まるかどうかの微妙なラインで『追いかけられる』スリルを味わっている。
・・・追いかけられるのって、なんか嬉しいじゃない?
とはいえそろそろ次のステップに進みたいんだよね。
「ヒロト君、少しスピード落としてくれる?」
「え?ええんか?」
「うん。宜しく」
「あいさー!」
俺が立つ船尾に宗一さんが立つ船首が近付いてくる。
ぎりぎりまで来ると、宗一さんはえいやっと飛び移ってきた。
「はっはっは!これで貴様も年貢の納め時だなっ!」
俺の目の前に仁王立ちし、高らかに笑う。
ゆっくりと歩み寄る彼を見ながら俺は声を上げた。
「全速前進!」
「あいさー♪」
「え?」
船が速度を上げ、みるみるうちに護衛艦が見えなくなる・・・。
宗一さんは唖然として言葉を失っていた。
「宗一さんv」
「こっ・・・これで逃げ切れると思うなよ?」
「もう逃げたりしませんよ」
「・・・俺を殺す気か?」
「まさか!」
警戒心剥き出しの彼に近寄り、そっと抱き締める。
「えっ?」
「好きです」
「・・・?はあ?」
「だから、俺は貴方が好きなんです」
「ふざけたこと言ってんじゃねーよっ!」
「ふざけてませんよ?」
それを証明するため、彼を船長室に連れ込んでたっぷりねっとり教えてあげた。
・・・きっちり乱れもなく着込まれた白い軍服を脱がすのは堪らなく萌えたv
「マジかよ・・・」
「わかってくれた?」
ベッドの中、疲労しきった宗一さんが倒れこんでいる。
未知の経験に肌を染め、初々しい反応を返した彼に俺も抑えがきかなくって・・・。
優しくするつもりがかなりムリさせちゃったかも?
「宗一さんが俺のものになってくれるなら喜んで海賊を辞めるけど」
「・・・」
「平和を守るのが軍人さんの仕事でしょ?」
「・・・わかったよ」
「宗一さんv」
それから俺は海賊を辞め、宗一さんの部下になった。
元海賊がどうしてって?だって俺は(宗一さん以外を)略奪とかしてないし、元々捕まる理由はなかったんだよね。それに・・・。
「森永、次の作戦に進めるぞ」
「了解!」
一番欲しいものはきっちり手に入れたから♪
おしまい
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